昨年の秋の植物調査で発見したガンピの稚樹、今年の春の調査では、更に多くの稚樹が芽を出しました。
育成会では、それらすべてにNo.を付けて見守ることにしました。
7/11の観察では、芽を出したが枯れてしまったものもあるが、殆どは大きく成長していました。高さ1m位にも伸びた個体もありました。
また、調査区の外でもガンピの稚樹が生えてきていました。
40~50年前には、調査区Bのあたりに、たくさんのガンピ成木が生えていて、その後、東山全体が住宅開発業者の手に渡り、森の手入れがされなくなり、里山から放置林になって、常緑樹が優先する森に変わってしまいました。そのためにガンピも常緑樹の陰で減少して行ったものと思われます。しかし、ガンピが生前に作ったタネは地面に落ち、地中でじっと眠っていて、環境が発芽に適するように整ったので発芽してきたのでしょう。
私たちが植生調査の為、調査区Bは常緑樹をすべて切り倒したので、冬季には地面に太陽光が届き、地中温度も高くなって地中の微生物生態系が、ガンピが発芽できる状態になったので、昨年発芽して来たものと考えられます。
この現象で2つの大きなことを学びました。
1つ目は、近畿地方の森の生態系は照葉樹林が極相で、土地の攪乱子によって生じたギャップに最初に生えてくるのは先駆性夏緑樹と言われているが、これらの樹種は他から運ばれたタネがギャップに落ちて、発芽してくるものと考えていたが、それ以外に、この例のように、もともとその場所の土中で埋蔵されていたタネがギャップ生成によって、発芽してくる樹種もあることを知った。
2つ目は、植物のタネはその次の年に発芽するものとは限らず、土の中で発芽できる条件が整うまでじっとしていること。また、その条件は主として土中の微生物によって決まる。特にガンピは発芽率が低いと言われているが、いままで土中の微生物生態系を無視していたからなのでしょう。
写真はギャップ生成2年目の春に発芽して、翌夏のガンピ稚樹。ライターの長さは8cm。
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