和紙の材料「ガンピ」を育てています

和紙の材料となるコウゾやミツマタは栽培が容易ですがガンピの栽培は難しく、野山で自然に育ったガンピを採取して使われています。昨年9月のブログでもご紹介しましたが、この気難し屋のガンピを育てるようになった経緯をお話しします。

ナシオン創造の森でも陽当たり良く、水はけがいい尾根に近い所には所々ガンピが育っていますが、昔は現在よりも多く育っていたのではないかと思われる出来事がありました。

 

7年前に育成会の管理手法をデータで示すことができるように調査地を三か所設定しました。

 

皆伐区画一か所、常緑の植物を取り除いた区画二か所です。2年目の調査に入った頃に落葉の植物だけ残した一か所からガンピ稚樹110本が出現しました。これには驚きました。

 

昨年ガンピ栽培講習会でお世話になった今井三千穂先生に一昨年10月に見ていただいたところ、根から出現した稚樹であり、以前はガンピが沢山育っていたことが解りました。和紙の材料として使っていたかは別として、ガンピに適した環境であることが理解できました。

 

このようなことから前理事長の提案で木を伐って森を明るくするだけでなく、和紙の材料であるガンピを育てることをしてはどうか。と夢のような話をやってみようということで種子から発芽、生育とすすめてきました。

現在260本の苗木が育ち、尾根では約0.4haを整備し来年はここに移植する準備を進めています。

この暑い中で森の木の下で2年目のガンピ苗木は元気に育っています。

きょうも早朝に水やりにいきました。

定期的に水やりをしているのですが、森の中に入ると、いつも何かしら興味を引き付けられることがあります。

苗木が育っているすぐ傍でも、アベマキからでる樹液に図体の大きいカナブン、スズメバチ、サトキマダラヒカゲ、小さいアリまでが群がっています。こんな中で人の手で育てられたガンピもいずれ森の様々な生き物と共に育ち、和紙の材料として利用できるようになればと夢に向かって少しずつ歩んでいます。

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コメント: 9
  • #1

    (水曜日, 24 8月 2016 20:06)

    凄い!

  • #2

    浜田博史 NPO法人朝霧森林倶楽部 (月曜日, 08 7月 2019 16:49)

    こんにちは! 雁皮の種子で検索しましたら、御社のページに行き当たりました。まさしく僕たちも雁皮の栽培を考えているところです。3~4年前、ある事情でクヌギ・ナラの林を伐採しました。その後に雁皮の多数の芽立ちを迎えて驚きました。
    昨年来、移植で栽培もおこなっています。ぜひ種子を採取し、御社のごとくその種子で多数を栽培したいと考えている次第です。
    開花の時期を終え、種子の完熟するのを待ってるところなのですが、未経験故、いつ頃がその時期なのか、不明な点が多々あります。ぜひ、ご教示お願いしたいとコメントと書きました。よろしくお願い致します。

  • #3

    ナシオン創造の森育成会中尾利子 (月曜日, 08 7月 2019 21:50)

    お問い合わせいただきありがとうございます。
    ガンピの種採取時期は、種を持った時に無理なく手元にポロッと落ちるのが良いとお聞きしています。
    私共の活動地は兵庫県西宮市六甲山系北部に位置し、採取は10月下旬から11月上旬です。
    種から栽培を始めて日が浅く手探りの状態で行っています。

  • #4

    宮本良治 (月曜日, 17 5月 2021 16:56)

    私は針広混交林をめざし、スギの間にカツラ、ホウノキ、ケヤキを植栽しています。針葉樹もコウヤマキ、イチイと植えますが鹿の食害で苦労しています。隣の山のスギ壮齢樹の下にミツマタが鹿の食害も無く花を付けています。かっての奨励されての植栽の名残でしょうか。ミツマタは有毒で鹿が食べないようですね。ガンピも同じジンチョウゲ科なので食害はないでしょうね。成功をお祈りいたします。
     ミツマタは花が綺麗なので種子を採取し、苗を得ました。もう少し育ったら山に植えます。

  • #5

    ナシオン創造の森育成会中尾利子 (月曜日, 17 5月 2021 21:08)

    ガンピについてご声援いただきありがとうございます。2017年に最初のガンピを植えてから今日まで、ほぼ順調に育っています。針広混交林は良いですね。それらが育った林内は明るく、その下ではいろいろな植物が育っている様子が浮かびます。でも鹿の食害は、私共では創造もつかないご苦労がおありだと存じます。ミツマタはガンピと比べて花が華やかで、林内の足元を彩り山仕事の安らぎとなることを願っております。

  • #6

    宮本良治 (木曜日, 20 5月 2021 08:24)

    福岡県の林業担当職の定年退職者です。退職時に伐跡山林を7ヘクタール購入し保育しています。73歳になり、7ヘクタールは広すぎたと後悔しています。有用樹の植栽広葉樹苗は不要雑木との区別が困難で森林組合作業員に任せられません。芽生えた山桜も育てます。森林インストラクターで小学生の環境教育でのクラフト材料用に広葉樹生育を阻害するスギを間伐しました。広葉樹は横に枝を張り広い木陰を作り公園樹には良いのですが、木材生産上は短所です。スギとの混植でスギに負けず陽光を得るため横に枝を張るよりも上長成長優先で素直に育ちます。広葉樹を素直に育てる役目を果たしたスギは適度に伐採しないと広葉樹の幹径が得られません。昨日も挿し木苗の椿を彩に50本植えました。ミツマタも同様で植えます。ガンピも花がきれいなら植えたくなるでしょうが、少し地味ですね。雁皮紙として地域産業に貢献する日を祈念します。

  • #7

    ナシオン創造の森育成会中尾利子 (木曜日, 20 5月 2021 20:39)

    7haの広い山林で将来の山をイメージしながら、有用材の広葉樹育林の様子をお伝えいただきありがとうございました。応援してくださるガンピをこれからも大切に育てていきます。

  • #8

    高島 弥 (木曜日, 12 5月 2022 13:52)

    中尾様、初めてまして。
    私は名塩在住しております、高島と申します。名塩和紙谷徳製紙所の谷野さんと、和紙づくりをお手伝いさせている者です。
    現在、私も雁皮の栽培方法を独学で研究しようと試みている最中でして、挫折つづきで
    中々、上手くいきません。
    谷野さんから、中尾さんの活動を聞きまして、雁皮栽培の話しや活動を見学など。
    ご連絡させて頂いたしだいです。

  • #9

    こじまやはすこ (月曜日, 25 3月 2024 20:24)

    くろかわの里、トンボイケのミツマタの花の群生地を歩きました、自然が一杯でいい所ですね、