「生物多様性」講演会 6/4(日)

生き物が沢山活動していると思われるような初夏の中で、「兵庫県人と自然の博物館」主任研究員 橋本佳延先生をお迎えし、「生物多様性」講演会を開催しました。

 

参加者31名を迎え、「生物多様性」って何?

複雑に絡み合った沢山の生き物の関係を解きほぐすように先生はわかりやすく説明していただき、このことを基本にして身近にある里山の多様性についてもお話しいただきました。

午後からは、10年間明確な目標と計画性を持って森林整備にあたってきた創造の森へ行きました。

遷移が進み遅れて手を入れた所と、遷移の若い段階で手を入れた所の比較ができ、身近な森では手を入れないと多様性が低くなることを実際の森を見て学ぶことができました。

↑↑急斜面で手を入れにくいために、遷移が進み高木とシダ類の2層構造となり、多様性の回復は期待が難しい区画

↑↑遷移の若い状態で手を入れたので、現在4層構造ができていて、多様性に富む区画


また育成会が新たにはじめたガンピ栽培地も見ていただき、ガンピ栽培と森の多様性をどのようにして進めていくのか。

ガンピ生産性と多様性という難しい課題と向き合うことになりますが、先生からのご助言と、多くの方々にお越しいただき育成会の活動を見ていただことで、次のステップへ踏み出す勇気をいただいたように思います。

少しずつ歩をすすめれば前へ進むことができると思っています。

また多くに方々のご協力の下で活動を進めて参りますが、よろしくお願いいたします。

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「コアジサイの花」「ウツギの花」そして「ヒメコウゾの実」

今日は特別活動日で、上の棚田の草刈りをしました。

草刈は厄介な作業ですが、きれいな花を見つけてホッと一息つきました。

 

「コアジサイの花」アジサイ科アジサイ属

上の棚田は「スギ林」北側上にありますが、棚田の石垣の端に「コアジサイ」の花が満開でした。

コアジサイは普通のアジサイのような「装飾花」=ガク片がマリのように丸くなっておらず、白または淡青の小さな花だけの可憐なアジサイです。

そして大きな三角の「鋸歯」が特徴で、それほど大きな葉ではありません。何処から来たのでしょうか?創造の森ではここだけでしか見られません。

「ウツギの花」 アジサイ科ウツギ属

ウツギは「空木」と書きます。茎の中が中空になっているところから付いた別名です。

ドンジリ川沿い、森の入り口などにあります。写真のように昨年の実が今も着いたままです。

実の中の「種子」は1mmほどで10個ほどありますが、小さな種子の両端の翼で昨年中に風に飛ばされて今はありません。

「ヒメコウゾの実」クワ科コウゾ属

4月ごろに咲いた花から、写真のような実がなっています。

6月中旬~下旬には赤い「集合果」(多数の実が集まってキイチゴ状になっている果実) になります。

少し酸っぱくてあまりおいしいとは言えません。

以前ご紹介しましたが、ヒメコウゾの葉は、若木ではイチジクの葉を小さくしたように3~5分裂していますが、成木の葉は写真のように不分裂です。

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トライやるウィーク5日目 5/26

今日は森林整備などで利用できるロープの結び方を練習し、その後ナシオン創造の森入り口の橋が利用できなくなったとの想定で「一本ロープ橋」を作製しました。

短時間での練習でしたがロープ結びの「ほんむすび」、「まきむすび」、「まるたむすび」などをお互いに教え合いながらマスターしました。


 

いよいよ、一本ロープ橋の作製です。

 

2本の立木(アベマキ)の間に川に見立てたブルーシートを敷き、この間は通ることはできません。

救助側と孤立側に分かれて先ほど練習した結びを太いロープと格闘しながらも無事に一本ロープ橋が完成しました。

最初はゆっくりと慎重にわたっていましたが2回3回となると余裕をもって渡ることができました。


午後からは場所を室内に移動して昨日行った木工作の続きを色々とアイデアを出しながら完成させました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に創造の森メンバー手作りのコーヒーゼリーをいただきながら感想を述べ合い5日間のトライやるウィークを無事に終了することができました。


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トライやるウィーク4日目 5/25

今日は朝から雨です。残念ながら(?)室内で「葉による樹木検索」にチャレンジしました。

中尾さんが創造の森で集めてきた5種類の枝葉が、何という樹のものなのかを保育社の「樹木〔総合版〕 (検索入門) 」を使って探っていきます。

最初にソヨゴで説明を受けました。

目を凝らして鋸歯を観察したり、陽にかざして透過性を調べたり・・・大人でも結構むずかしいのですが、みんな飲み込みが早く、中尾さんが準備した、お題(アカメガシワ、アラカシ、クリ、ヤブツバキ、ヒサカキ)が次々見破られて行きました。


まだ時間があるので、木工作もやりました。

ずい分楽しそうに、どんどんいろんな作品が出来上がっていきました。


お昼ご飯の頃には、雨が上がりました。さぁ!午後は森に行って作業再開です!

現地では1時間ほどしか活動時間がないので、集中してがんばりました。

ノコを使う姿勢もすっかり板について、本当に上手になりました。みんなカッコいいですよ。


4区での活動はこれで完了です。よく頑張りましたね。お疲れ様でした。

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トライやるウィーク3日目 5/24

早朝から小雨まじりのお天気で、今日の活動が心配されましたが、みんなが集合する頃には雨もあがり、

ラジオ体操の後昨日と同じ4区へと元気に出発しました。

 

曇り空なので陽射しはましですが、とても蒸し暑く現地に着くころには、うっすらと汗がにじんでいました

直径15cm位あるソヨゴの木を倒すのに、のこぎりを入れる人、それをずれないようにリードする人、そして倒したい方向へロープで引っ張る人と、5人が力を合わせて一本の木を倒します。大変なだけに、倒れる瞬間には大きな歓声があがりました。なかなか経験できない貴重な体験です。


午後は、伐った木の整理です。

太さ・長さによって決まった場所にきれいに並べます。葉は細かく切って積みあげるのです。

森ではただ木を切るだけではなく、きちんと整理する事の大切さも感じてくれたでしょうか?

作業が終りトライやる日誌を書いたあと、みんなでロープを使ってしばらく遊びました。

この時が、今日一番の笑顔でした。明日もきっと元気に来てくれるでしょう!

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トライやるウィーク2日目 5/23

今日から本格的な伐倒作業の体験です。

皆の体調を確認後、準備体操をして作業現場の第4区に向かいました。

会員は小休憩しながらですが、さすが若い中学生は一気に4区まで行き着きました。

4月に「ガンピ」を植樹した更に北側の斜面の樹の伐倒をしました。

鋸、はさみは工作で使用した経験があるとかで、全くズブの素人ではありません。

しかし山で樹を伐り、倒すのは勝手が違い、安全確認のルール励行を促した結果、大きな声を出し周りに注意を払いながら良く出来ました。

 

最後は約15cmほどの二股に分かれている「ソヨゴ」にロープをかけて伐りましたが、

予想外で「ソヨゴ」の樹上部分が隣の「コナラ」の枝にかかり、この処分に苦労しました。

が、「ドド~ン」と地響きを立てて倒れた時は、「ウォー」と歓声が上がりました。

日誌にこの時の「快感」が忘れられないと綴っている生徒もいました。

 

最後に一言。生徒5人の内3人が「レフティ=左利き」だったことは少々驚きでした。 育成会にはいませんので、伐倒時の位置や、伐り方の指示に少々戸惑いました。

 

でも、みんな「良く出来ました!」


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トライやるウィーク1日目 5/22

今年も、トライやるウィークが始まりました。

地元の中学校の男子生徒5人が緊張気味の面持ちで、育成会にやって来ました。

今日のプログラムはまず座学です。

 

育成会の活動は、どんな意味があるのか、なぜ木を伐ることが大切なのか、という事を学びました。

また、森の土の中には、少々気持ちわるい土壌動物がたくさん住んでいて、栄養たっぷりの森の土を作っていることも

知りました。

そして、実際の伐採作業を始めるにあたって、危険を避けるために、「安全な木の伐り方」を勉強しました。

 

トライやるは職場体験なのに、最初から勉強???

と、少し眠かったかもしれませんがこれからの4日間のために

とても大切な内容です。

 

 

午後は、いよいよ創造の森に入り、身支度です。手ノコと剪定ばさみを腰に着け、ヘルメットをかぶります。

急速に気温が上昇する中、活動地の4区までの道のりは遠く感じたのではないでしょうか。

整備部長の伊藤さんからは、「伐っている木が倒れる前には必ず周りに人がいないか確かめ、声をかける」ということを何度も習いましたが、頭に残っているでしょうか?

明日からは、伐る木がだんだん太く大きくなると思いますが、基本はしっかりと身に付けてほしいものです。


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東山台小3年生自然学習 第1回 春 5/18

テーマ: 創造の森大発見

 

五月晴れの5月18日、今年度1回目の春の創造の森探検が実施されました。

3クラス81名と先生4名を案内して出発です。

学校を出発して森までの道中では、今日の森の探検を楽しみにしている子ども達の期待で足取りもとても軽やかです。

 

創造の森入口に着くと、オオキンケイギクの黄色い花が子ども達をお迎えです。

本来、この花は外来種なので全部刈り取ってしまうのですが、青空に一面の黄色が映えて春の里山の雰囲気が子ども達にも人気なので、今日のためにそのままにしておきました。でも、このオオキンケイギクはできるだけ早くに刈り取ってしまいます。

 

今回は第1回目ということで、学校の近くにある森なのにほとんどの子が行ったことがないので、自由に自然に触れ・感じてもらおうと、テーマを“創造の森大発見”としました。

おまつり広場からヒノキ林までの山道には、丸太で作った橋や石の階段もあり、ちょっとした冒険気分のようです。

今日の目的地のヒノキ林で、お茶休憩のあとしばらく自由に植物観察してもらい、再び来た道をおまつり広場へと戻りました。


おまつり広場や棚田周辺では、自由に植物採集をして植物の名前を育成会に教えてもらいました。

レンゲソウ・タツナミソウ・コナスビ・ウツギ・ヤツデ・トウバナ・クロモジ・キノコ等々。


そして最後に、子どもたちからの質問タイムです。

「質問のある人!」の声にたくさんの手が上がり、びっくりです。

・  なぜ、オオキンケイギクは抜かないといけないのですか?

・  八つ手はどうしてヤツデというのですか?

・  どうして「創造の森」という名前をつけたのですか?

子ども達の疑問は尽きません。

 

最後に、中尾理事長から名塩和紙の材料であるガンピがこの森にはたくさんあって、それを大事に育てている事を聞きました。

皮をむいてみるとスルーっとむけるのに、それを引っ張るとどんなに力を入れてもちぎれないことを実演しました。だから和紙の原料になるのです。

 

自然に触れて興奮気味の子どもたちは、何を感じ取ってくれたのでしょうか?

次回の夏の創造の森探検がとても楽しみになりました。

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「ご神木」を護る― ナラ枯れ対策シートを張る

「ナラ枯れ」とは、「ナラ類」「シイ」「カシ類」などが「カキノナガキクイムシ」が媒介する「ナラ菌」と言う病原菌により起こる樹の伝染病です。

この病気にかかると夏の暑い季節に、今まで青々としていた樹々が突然茶色に変色して、翌年の春に芽吹きが出来ず、やがて枯死してしまいます。

この夏、山を眺めて青々とした樹々の間に茶色の樹を見つけたら多分それは、「ナラ枯れ」による被害を受けた樹です。

ナラ枯れ対策はいろいろあります。

樹に事前に「粘着テープ」を張り虫の侵入を防ぐ、

細かい網目のシートを張り侵入を防ぐ(以上は事前の対策)、

樹の幹に殺菌剤を注入して虫を樹の中で殺し被害の拡大を防ぐ方法、

伐採して樹の燻蒸をする(以上は事後の拡大予防策です)

などです。

でも、どの方法も「カキノナガキクイムシ」そのものを樹に侵入する前に駆除はできません。

 

ナシオン創造の森でも、既に何本か「ナラ枯れ」が出ていて、枯死して倒木したら危険な樹だけを市役所により伐採、燻蒸処理しています。

でもまだ健全な樹で「ナシオン創造の森」としてナラ枯れから何とか守りたい樹もあります。

それは「ご神木」と呼んでいる「アべマキ」の大樹です。

被害予防のため、細かい網目のシートを地上から3m程の高さまで張りました。

これから「カキノナガキクイムシ」の活動する季節ですが、

ムシより小さい網目のシートですから樹への侵入は防ぐことが出来ると思います。

これでしばらく観察をしていこうと考えています。



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「山の作業安全講習会」- 安全に樹を伐る 4/22

 

昨年も行いましたが、「樹を安全に伐る」ための会員を対象とした講習会をしました。

「森を育てる部会」の部会長が講師となって行いました。プロではありませんので、既に作成してある育成会の「山の作業安全マニュアル」をベースに森の第7区で、中径木の「ソヨゴ」を伐りながらお互いの技術、経験の向上に努めました。

頭では分かっていても、いざ実行する段になると

どこかが抜けていたり、樹を伐ることだけに意識が向いて、

周りの安全確認がおろそかになったりと講師自身も良い勉強になりました。


 

年を重ねると体が若いころのようにとっさの場合の動作が遅れたり、また意識も集中性を欠いたりします。

ですから、我々の場合は技術向上よりむしろ「安全確認」に主体を置くべきと考えて講習を進めました。

どうぞ皆さんも山の作業の際は自分と、他人の両方の「安全確認」を忘れ無いように!

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ガンピ苗を森に植えました 4/20

2013年に「和紙の材料ガンピを創造の森で育てよう」と夢を持ち、

そして、きょうは創造の森にガンピを植え、夢が現実に一歩近づきました。

 

2014年秋に創造の森と高座山からガンピの種を採取し、

2015年4月2日に播種、5月4日に初めての発芽が確認されてから約1か月間に次から次と小さなガンピが誕生してきました。

それから236本の苗が2016年、2017年とポットの中で順調に育ち、樹高約30㎝になりました。

 

整備地へ植えてからは、水やりはできないので、最後の水を充分与えて運びました。

植える穴の大きさは約20㎝に深さ約20㎝。ツルハシ、バチ鍬、シャベルを使って掘りました。

ここに周りにある腐葉土を入れて苗を置いていきます。


森の一員として育つことを願って丁寧に土をかけました。一本づつ植えた苗は森の中ではとても小さくてわかりにくく支柱を立て目印としました。

これらのガンピが和紙の材料として使えるには、発芽してから約10年と言われています。

ひょっとして、もう少し早く使えるかも?と思いながら、これからの生育が楽しみです。

育成会設立当初からの大きな目標は木を伐って森を明るくすることです。

このようなことが、ガンピの生育に適した環境であることが育成会の調査結果から確認されています。

ガンピを育てることで、森の多様性も維持できる里山利用が、本来あるべき里山の姿に近づいてきたと思っています。

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「ナラ枯れ防除」のシートを張りました 4/1

昨日、棚田で伐採した、ナナミノキの枝葉の整理をした後、

「コナラ」に穿入した「カシノナガキクイムシ」(=カシナガ) の成虫が5~6月ごろ飛び出して、他の健全なコナラに再度穿入しないように、成虫の飛び出しを防ぐため、コナラに網目0.2mmのシートを張り付けました。育成会では初めての経験です。

 

一昨年9月に西宮市が調査した時の写真2枚です。

 

樹にカシノナガキクイムシが穿入した穴、虫が樹木を食った木屑と排泄物が混じった白い粉=「フラス」が樹の根元にたまっているのが分かります。

これがナラ枯れ被害の状況です。被害に合うと8月の夏にかかわらず葉は茶色に変色して、外から一目で分かります

昨日、処置をしたコナラはこちらです。まず、ロープを幹に巻きつけます。

シートを巻きつけ、タッカーで留めます

こんな具合になりました。もう少し上の方までシートを追加する予定です。

なお、シートを張るのはまだ被害を受けていない健全木に成虫の穿入予防のために行う場合もあります。

(次は、幸いにまだ被害を受けていない、育成会の「ご神木」=アベマキ、にも被害予防のため張りつける予定です)

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