
5月25日(日)明るい森をつくるための伐採から伐った木の利活用までの森づくりを一日かけて体験する特別企画イベントを開催しました。数十年前まで里山だった創造の森で、現代の日本ではとても稀になった「馬搬」で、ヒノキの長い丸太を運んでベンチをつくり、昔の棚田を、生き物の賑わいを応援する人が集う”ひろば”に変えました。
オリエンテーション
森の入口で受付を終えた参加者は”お祭り広場”に向かい、手ノコとハサミを腰に付け、ヘルメットを被りました。時間のあった方は、創造の森の生き物たちと森の代表的な木であるガンピのポスターを見て下さったことでしょう。10時に全員集合。創造の森と育成会、企画の理由、馬搬をしてくれる山下夫妻を紹介。その後、活動時の留意事項の確認、安全指導と準備運動。創造の森では安全第一です。
手のこ伐採体験
ヒノキの苗が植えられて50年以上経ったヒノキ林に移動。大きく成長したヒノキの下を占めている、日陰でも育つ常緑樹、ヤブツバキ、カナメモチ、サカキなどを除伐して陽の光を入れます。中学生から70代までの一般参加者を班分けし、会員も加わりました。アベマキ班、ガンピ班、コバノミツバツツジ班、ヒノキ班と、森を代表する木々の名前をつけた4班に分かれました。参加者は、木を伐る前に、なぜこの場所の木を伐るのか、鋸の使い方、伐り方、伐る際に木が倒れる方向の注意、伐った後の処理の仕方の説明を各リーダーから受けました。どの班からも、木を伐った際にかける「倒れます!!」という声が飛び交い、皆、木を伐ることから森が育まれることを体験しました。ご自分で伐られた木の木口(こぐち・きぐち)が綺麗なことに感心されて、持って帰られた方もいました。それはヤブツバキ。木口や樹肌も白く真っ直ぐで、ずっしりとしていました。 1時間足らずの体験でしたが、伐った後に空間ができました。陽の光が入り、新しい芽生えも見られるようになります。(中)
馬搬実演見学
ナシオン創造の森に、馬がやってきました。風月号(風ちゃん)は淡路島で活躍中の働き者、13歳の牝馬です。森の中で見る風月は、ずっと前からそこにいたかのよう。笹の葉をムシャムシャ食べていました。今回ヒノキの丸太を一本ずつ運んでもらったのですが、こんなの軽いよ!と言わんばかり。速いよ、と馬主さんが声を掛けるほど、軽々とした歩みでした。ひずめで地面を踏み鳴らす音、ブルルルッといういななき。馬の力強さに圧倒されました。馬主さんの説明によれば、馬は体重の2倍の重さ運べるとのこと。風ちゃんは700㎏なので、たやすいことなのでしょう。山で木を伐る、馬が運ぶ。これがこんなに楽しいなんて!素晴らしい時間でした。(太)
ヒノキのベンチづくり
育成会で初めてのプログラムでした。あらかじめ伐った約240cmのヒノキの丸太4本と、玉切りしてVの字の切り込みを入れた約30㎝の丸太を使いました。風ちゃんがヒノキ林から運んだヒノキの樹皮剥ぎを参加者にやってもらいました。鎌を使い樹皮を剝ぐのですが、案外難しく、きれいなすべすべのヒノキになるグループもあれば、なかなか上手くいかず苦労するグループもありました。たぶん技術の問題ではなくて、ヒノキが含む水分の関係だろうと思います。皮むきにより樹皮の間に虫が入らず、乾燥すれば雨などにも強く丈夫で長持ちするベンチになるでしょう。皆初めての経験からか、リーダーも含め、完成時には喜びもひとしおでした。これからのイベントや、憩いの場所、子供の遊びなどに使ってもらいたいと思います。(伊)
ねぎらいタイム
馬の体温は人間より2度ほど高いそうです。黙々と丸太を運んでくれた風月号をねぎらう餌やりを一人ずつ行いました。洗面器に牧草を入れて口元に持っていくともぐもぐと食べてくれました。途中で洗面器を鼻で軽く払いのける仕草をしたので、次の人に交代しましたが、最後の人まで食べてくれるのか心配でした。次のブラッシング中に口元を見ると、餌は食べています。―――謎は解けました。洗面器の中には2種類の牧草が入っていて、風月号は好きな牧草を食べ終えると次の美味しい牧草を望んでいたのです。肩あたりに左手をおいてブラッシングをしながら、ねぎらわれたのは私たちであったと、そのぬくもりから気付かされた馬搬体験でした。(米)
ねぎらいの順番待ちをしている間にアンケート。どの時間もとても楽しんでいただけたようです。風ちゃんを中心に全員集合。みんな笑顔になりました。すべてのプログラムが安全に滞りなく進行し、各班のシンボルツリーを見に行く時間すら生まれました。 本当にすばらしい一日でした。 この企画は、数多くの関係者の皆様のお力添えとクラウドファンディングの支援者の方々のご支援があってこそ実現しました。厚く御礼申し上げます。
また、この日、北摂里山博物館 大嶋事務局長に取材いただきました。イベントのようすを「ひと・さとのくらしと四季」に写真と動画でレポ-トしていただいております。以下のリンクから、ぜひご覧下さい。
ひと・さとのくらしと四季: https://hitosatokurashi.blog.fc2.com/blog-category-19.html
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